[完]大人の恋の始め方
「は?」
何言ってんだ、この人は。
「付き合ってないからっ。なんでそんな発想になるわけ?!」
どうやったって、こんな容姿端麗な人と付き合えるわけないでしょ!
「えー、でも杏里ちゃん、どっちか好きでしょ?」
核心を突くような母。
いや、違う。
感じてるのかも。
昔から、何故かママには秘密がばれる。
「違うからぁ!止めてよねー」
もし、優斗さんの事を好きだとしても、あたしはそれを認めない。
あたしは"重い女"だから。
「そぉ?でも、どっちかならママは賛成よ♪」
ニコニコする母。
どうせ顔だろって思ったが、あえて口にはしなかった。
だけど、そこで言った方がよかった。
「杏里、お前の親は俺でもいいみたいだぜ?」
こちらに、不適な笑みを見せる優斗さん。
その顔が、すごく好き。
なんだけど―…
「何言ってんの?」
「何って、そのまんまの意味だろ?」
何が…?
優斗さんは、何が言いたいの?
首を傾げれば、優斗さんはポカンと口を開く。
「あれだね。杏里ちゃんって、鈍感なんだね」
楽さんも、苦笑いを浮かべる。