[完]大人の恋の始め方
悲しみを忘れる為に、あたしは友達の家で、初めて"やけ酒"をした。
苦くて、熱くて、しょっぱい。
きっと、しょっぱいのは
あたしが泣いていたから。
その涙も、気持ちも忘れたくて、あたしは飲むのをやめなかった。
だって、そうでもしなきゃ、あたしはきっと生きていけない。
こんな苦しみ、もういらない。
「男なんて、飽きたらポイだもんね」
友達の誰かが言った台詞。
あたしも、心からそう思うよ。
だから、あたしは恋をしない。
さんざん飲んで、あたしは一人で帰宅すると、家を出た。
夜風が、あたしの髪の毛を通り抜ける。
11月の夜は、さすがに寒くて。
あたしは、半分酔いが冷めてしまった。
嫌だ。
酔いが覚めたら、あたしは…。
そう思った矢先、あたしは足元がフラついて、街中を歩く不良にぶつかってしまった。