[完]大人の恋の始め方
あたしは体勢を整え、一先ず学校に向かって歩き出す。
「もしかして、高杉さんとなんかあった?」
何気なく言われたその一言が、図星過ぎて何も言えない。
そんなあたしの様子を見て、クスっと笑う友美。
「図星かぁ~!案外杏里って単純だね~っっ」
と、あたしの腕を突く。
「でも、友美が思ってるような楽しい話じゃないよ?」
その手をさりげなく退かしながら、またひとつ、ため息をつく。
「誰が楽しい話と言ったのよ?フランスで何があったの?」
その言葉と同時に、あたし達は風紀検査の先生に捕まった。
話に夢中になって、見てなかったよ!
そう思いながら、その先生を見ると、大翔先生だった。
「ヒロ先生、おはよー!」
「はいおはよーって、通れると思ったか?」
見事に捕まる友美。
着崩しまくってる友美が捕まるのは当たり前。
でも…、
なんであたしまで捕まってるわけ?!
あたし、それなりにちゃんと着てるよ!??
と思いつつも、名簿に承認サインを書く。
風紀検査に5回引っかかると、謹慎になるから注意だ。
「佐藤、お前4回目なのか?!」