[完]大人の恋の始め方
名簿を見て驚く大翔先生。
風紀検査は、学期事に1週間行われる。
しかも、年度事に回数はリセットされる。
今日は金曜日。
って事は…
「何、友美。毎日引っ掛かってたわけ?」
つまりは、そういう結論になる。
「え、うん。なーんか、毎回捕まるんだよね。意味わかんない♪」
それは着崩してるからだよ。
そんな言葉さえ、呆れて出てこなかった。
「仕方ない。佐藤、今回だけ見逃してやる。早く直せ?」
情が湧いたのか、先生は小さな声で呟いた。
それを聞くと、あたしは一気に友美の制服を直して、校舎へ急いだ。
必死過ぎて、その場を離れたくて、見落としてた。
先生の不適な笑みを…―。
「もう!なんで走ったの~!?」
息を切らせながら、プリプリと怒る友美と、階段を上っていた。
やっぱり、二人っきりで話したいから。
「杏里さぁ、未だにヒロ先生はダメなの?」
ダメ…。
……………嫌い?
「うーん、よくわかんないけど、身体が反射的に嫌がるの…」
恐怖心は、なかなか消えないもの。
根付けをした張本人である大翔先生には、もう昔のようには接せないような気がした。