[完]大人の恋の始め方
そのあと、あたし達は近くのスーパーに寄った。
「杏里、料理できる?」
「え?まぁ」
何たって、あのバカ親父はフランス料理人なんだから。
それなりに教え込まれてる。
バカ親父のお父さん、つまりおじいちゃんは、日本食料理人だし。
だから、それなりにできるんだ。
「杏里が出来るとか助かる」
「なんで?」
もしかして、出来ないとか?
「俺、料理すんの面倒だから」
………あ、そういう事?
なんて思っていると、優斗さんはパスタをカゴに投入する。
「今日、和風パスタがいい」
にこりと笑う優斗さん。
まぁ、作れるし。
「分かった」
あたしは、必要材料のアサリやハマグリ、椎茸、えのき、鶏肉等を買う。
「あ、オリーブ油はあるから」
「らじゃ」
買い物を終えると、部屋に戻るあたし達。
もう16時。
そろそろ夕飯を作らなければならない。
「ちょっと、ココ座って?」
あたしは、キッチンに荷物を置いてソファーに座る優斗さんのあとを追う。
「なに…?」
まだタメ語がなれない。
「約束、決めようと思って」
「約束…?」
すると、優斗さんは「やっぱりプライバシーとかあるし」と言った。