[完]大人の恋の始め方
昔話なのか、神話なのか。
時々心美は、不思議な情報を持ち出す。
「わからない」
素直に答えれば、心美はにこりと笑った。
「それはね、神様に刃向かった子たちだから。」
あとから知った話だけど、ほんとに人間は球体だったって話はあるらしい。
「つまりよ?アンタは神様に見捨てられそうな訳よっ!!さらに、だれかのパートナーにまで手をだしてっ!」
キーッと怒り出す心美をなんとか宥めた。
「まぁ落ち着いてっ」
すっかりシュンとした友美にも、よしよしと頭を撫でる。
なんであたしが、こんな事しなきゃならないの。
って、昔なら思ったけど、今はこのやり取りもなんだか懐かしかった。
「あれ?なんでこんな会話になったの?」
心美の説教が長すぎて、なんだか分からなくなってしまった。
「なんか、新しい彼氏がどうちゃら…はぁ」
心美はとうとう呆れたようだ。
「まぁ、別れたけど」
「「別れたぁ?!」」
この子って、どんな神経してるの!?!?
「え、何日付き合ってたの??」
何度も聞いた事ある友美の恋ばなでも、やっぱり気になるものだ。
「うーんと……10日?」
…………。
それは、付き合ったと言えるのか?