[完]大人の恋の始め方
「呆れた。それ、付き合ったとも言えないでしょ」
冷たく言い放った心美。
そんな心美を、友美は涙目ながら睨む。
悔しいんだろうな。
間違っていない事だから、言い返す事も出来なくて。
友美の性格上、心美に言われた一言でズタボロだと思う。
なんだかそんな雰囲気が嫌で、あたしは話を変える事にした。
「ねぇ?夕ご飯、何がいい?」
わざと明るい声を出すと、それに心美が乗ってくれた。
「うんとね~っ、肉じゃが食べたい~」
「心美昔から好きだもんね~」
そう言いながら、キッチンへ入っていくあたし達の後ろを、ソロソロとついて来る友美。
それが何だか可愛らしい。
心美と目が合って、思わず微笑む。
「さーっ!作るぞぉっ」
テンションが上がった心美の隣で、あたしはジャガ芋の皮を剥き出す。
友美も人参の皮を剥く。
「そういえば、3人で料理って、バレンタインのチョコフォンデュ以来だねーっ」
あの時は楽しかったなぁ。
唯一、友美も彼氏が居なくて、3人でめちゃくちゃ楽しんだのを覚えてる。
…………―――
「やっばっ!!めっちゃおいしそう~」
すっかりいつもの調子に戻って、目を輝かせる友美。