[完]大人の恋の始め方
それだけ言うと、リビングから出ていこうとする優斗さん。
そんな彼をあたしは止めた。
「あのっ…優斗さん。夕ご飯はどうした?」
一旦手をドアノブから離し、あたしを見る。
「あー、まだだけど?」
それがどうしたという目で見てくる。
どうしよう。
聞いたのはいいけど…、やっぱりあたしとご飯食べるのは嫌かなぁ…。
どうするか困っていると、友美が口を開いた。
「友たちと一緒にたべません?」
とか言いながら、すでに優斗さんの腕を掴んでいる。
ううっ…なんか、胸が痛い。
なんで…?
と思いつつも、友美の行動力に拍手を送る。
友美は優斗さんを引っ張ると、あたしの隣に座らせた。
いつもは目の前で食べているから変な気分。
「いや…でも……」
強引な友美に戸惑う優斗さんだが。
「いーじゃんっ!どーせ優斗さんもお腹減ったでしょ?」
とか言って友美がご飯を準備するから、諦めたようだ。
「あー肉じゃがだっ」
やけに肉じゃがを見てテンションが上がっている優斗さん。
和食好きだって言ってたもんね。
あたしは、右隣の彼の喜ぶ横顔を眺めていた。