[完]大人の恋の始め方
「……そうだな。どう思ってるように見える?」
フッと笑って、再び手を動かす。
ついでに、心美達の分も煎れる。
「へぇ。自分でも自分の気持ちがわかんないってやつ?」
ニヤリと笑って、優斗さんを挑発しているのか、何なのか。
「そうだね。まぁ、当たらずしも遠からず…かな」
含み笑いを見せると、自室には戻らず、心美達に近付いた。
二人を見ると、なんだか大人の二人って感じで、カッコイイ。
と、同時に、あたしの胸にモヤがかかる。
「何を考えてるの?」
あたしからコーヒーを受け取った心美は、優斗さんをチラリと見た。
「さぁな?お前は俺に何を聞きたい」
「そうね…」と言うと、少し考えてから、ニヤリと笑った。
「優斗さんの素直な気持ちが聞きたいかな」
一瞬は目を見開いた優斗さんだが、やがてクスッと笑い、肩をすくめた。
「参ったな」
全然理解出来ない会話が進んでいく。
「でしょ?話した方がいいと思うよ?」
心美の含み笑いに、優斗さんは短いため息を着いた。
「分かったよ。話すから、杏里聞いてくれるか?」
「え、あたし?!」
あたしは目を見開いて優斗さんを見た。