[完]大人の恋の始め方
「まず、杏里を避けて悪かった。でも俺の事、嫌いだろ?」
「は…?」
気まずそうにあたしを見る優斗さんに、首を傾げる。
どういう事だろうか?
「俺、過去を隠すつもりはない。ただ、俺を嫌わないで欲しい…」
と話す優斗さんの意図が分からない。
え、何?
あたしを嫌ってるんじゃないの?
疑問だらけで答えないでいると、優斗さんは瞳を不安そうに揺らした。
「えっ!あ、そういう事!?」
友美は驚いたように目を見開いて、手をポンと叩いた。
「え、何、意味不明!」
友美を掴むが、ニタニタ顔の友美には、もう何も聞けない。
ため息を着いて、優斗さんを見つめた。
「よく分からないんだけど…。優斗さんは…、あたしのこと嫌いなんじゃないの?気に入らないんじゃないの?」
そう尋ねれば、優斗さんもまた、目を見開いた。
「え、どういう事?!」
アタフタするあたし達を見兼ねて、心美が口を開いた。
「要するに、二人は互いに思い込みがあるのよ」
「どういう事?」
あたしの質問に乗っかるように、心美を見た優斗さん。
「杏里はさぁ、優斗さんに余計な首突っ込んで、怒らせちゃったって思ったんでしょ?」
確認にウンと頷く。