[完]大人の恋の始め方
どうやら優斗さんには、友のラインが気に入らないようだ。
まぁ、どうせプロだし。
やってもらおう!
つけまつげを離し、目を閉じた。
すると、優斗さんの指がフワッと触れ、優しい手つきでラインを入れた。
ああ。
もし、杏里の好きな人が彼じゃなかったら、友はこの人を好きになったかも。
気付けばつけまつげまで付けてくれていた。
「あ、すいませ~ん!」
ニコッと笑う彼の顔は、心以外の女の子を射止めそうだ。
「いいえ。」
こーんな優しい彼が、杏里にはドSなんだもんなぁ。
きっと毎日が胸キュンだろうに。
なんて思いながら鏡を見た。
「えっ!凄ーいッ」
自分でやるのより、ケバさが消えて、高級感がある。
プロってやっぱり凄い。
と思いながら杏里に目をやると、可愛らしい顔を歪ませていた。
……わかりやす。
「ぷっ!」
友は思わず吹き出してしまった。
悪いとは思うけど、可愛い杏里が悪い。
「何いきなり」
ちょっとぶっきらぼうな物言いに、更に笑いが込み上げる。
あー、なんでこんなにわかりやすくて、こんなに可愛いんだろう…?