[完]大人の恋の始め方
杏里といると、本当に男たちの視線が凄い。
駅前に新しく出来たショッピングモールの中で、ひしひしと感じた。
多分、杏里のことモデルだって気付いてる子は何人もいると思う。
「ねぇ友美!あそこの洋服見よっ」
自分が大量の視線を送られている事には一切気付かず、無邪気に楽しむ杏里。
天然なのか、バカなのか。
鈍感なのか、間抜けなのか。
杏里を分析してみるけど、全部当てはまりそうで、拉致があかない。
「友美?」
なかなか行かない友を不思議に思ったのか、パタパタと駆け寄ってくる。
「ん?ゴメンゴメンっ!行こうっ」
友は考えるのを止めて、一緒に楽しんだ。
久しぶりの杏里との遊びは、やっぱり楽しかった。
それだけに時間が経つのも早くて。
友と杏里は、8時頃ようやく家路を歩きだした。
「今日は楽しかったねーっ!」
両手にショップバックを持ち、満面の笑みを見せた杏里。
「だね~!友もめっちゃ楽しかったぁ!!」
それはそれは名残惜しいほどに。
二人で盛り上がっていると、急に隣に車が止まった。
ビックリして、二人して足を止める。
黒いワゴンで、窓には黒いフィルムとカーテンがしてある。