[完]大人の恋の始め方
例えるなら、芸能人が乗っているような車。
でも、それと同時に、怪しい車にも見える。
もしかして杏里の知り合いかと思って、チラッと見たけど、まるで分かっていない様子。
すると、黒い窓から微かに、カーテンが開くのが見えた。
そして、窓を開く際になる機械音が鳴り、窓はゆっくりと開かれた。
フワッと見えた茶髪。
窓からうっすらと見える顔は、見たことある気がする。
顔が見えるところまで窓が下りたとき、友は絶句した。
「あっ」
杏里も誰だか分かったようで、小さな声を上げる。
ここは人通りの少ない道で、車の人物は、安心したような笑顔を見せた。
「よぉ、杏里ちゃん。久しぶりだねっ!」
笑顔で杏里の名前を呼んだ事に驚き、即座に杏里を凝視した。
一方の杏里は、気まずそうな笑みを向けている。
一体どうなってんの?
なんで男嫌いの杏里に、男の知り合いなんているの?!
しかも相手は……。
超イケメンで、今絶大な指示を集めるアイドルの…