[完]大人の恋の始め方
「ちっ。誰だよ」
不機嫌そうに携帯を取りながら、あたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。
そして、リビングに向かっていく。
その背中をずっと眺める。
優斗さんは、 一体何を言おうとしたの?
あたしは、優斗さんの事……。
【次の日】
今日もまた、カメラのフラッシュに包まれていた。
一着目のドレスは、真っ黒なロングドレス。
胸元がガバッと開いている。
かなりセクシーな大人向けのドレスだ。
顔には、つけまつげをした濃いめの化粧が施され、髪の毛は、金髪ウィッグ。
クルクルに巻かれた髪は、右サイドに全て集められている。
鏡を見ても、なんだか自分だとは思えなかった。
あたしはソファーに座ると、脚を組んだセクシーなポーズをしたり、胸元を強調するように、ポーズを取ったりした。
「はい、OK。次ね」
すっかり仲良くなったカメラマンさんの指示に頷き、控え室に入る。
すると、すでにドレスを準備した優斗さんと目が合った。
「随分リラックスして撮れてんじゃん」
フッと笑う優斗さんにつられて、あたしも笑顔を零した。
「ほんと!?嬉しっ」