[完]大人の恋の始め方
伝える気持ち
会社を出ると、優斗さんの真っ黒なピカピカの車が止めてある。
あたしは、その助手席に座る。
続いて優斗さんも車に乗り込むと…
「今日は家には帰らない」
そう告げられた。
ビックリして優斗さんを見たが、既に運転に集中している様子。
暫くすると、高級だと有名な、ホテルの駐車場に、顔色ひとつ変えずに入って行く。
車を止めると、あたしを下ろし、フロントへと向かう。
途中、上を見上げると立派なシャンデリアが吊されてある。
さらに周りの人達を見ると、ドレスを着ていたり、かなりオシャレ。
制服のあたしは、一人浮いている。
逆に優斗さんは、カジュアルな格好だけど、ストールだとか、ジャケットだとか何と無く高級感があって、馴染んでいる。
すごいなぁ…。
すると、チェックインを済ませた優斗さんが、あたしの手を引いた。
「行くぞ?」
エレベーターに乗り込むと、やたら静かな優斗さん。
そのせいで調子が狂う。
どうしたら良いか、分からなくなる。
そう考えているうちに、エレベーターは最上階に着いた。
「え、最上階って!!!」
ここ、予約を取るのすら難しいって聞くのにっ!