[完]大人の恋の始め方
あなたは、どんだけ話すのを忘れてるの…。
「聞いてません」
頬を膨らませて優斗さんを見上げれば、頭を優しい手つきで、ポンポンと撫でてくれる。
「そんな怒るな。今から教えてやるから」
そう言われて、あたしと優斗さんは、窓の近くのソファーに座った。
夜景を一望出来るなんて贅沢だ。
「実は、俺も化粧品の会社の社長やってんの」
「ええ?!」
優斗さんはフッと笑うと、あたしの頭を撫でる。
「○△って、会社知ってるか?」
上げられた会社名は、幅広い世代に愛されるところだ。
「知ってるけど…?」
すると、クスリと笑い、それでもって自慢げな表情を見せる。
「そこが、俺の会社」
「はぁ?!」
ビックリして立ち上がると、優斗さんはお腹を抱えて笑い出した。
「そんなに驚くことかぁ?」
「驚くよ!普通に驚く!!しかも、その会社の化粧品持ってるしッッ」
なんだか、優斗さんが知らない人のような気がしてきた。
「ま、俺が社長だろうと、何だろうと、俺は俺だよ」
ニーっと笑って見せる優斗さんは、可愛くて。
それでいて、安心出来た。
やっぱり、あたしは……。