[完]大人の恋の始め方
しばらくすると、リビングの扉が開く音がした。
「杏里、風呂上がった」
どうやら、優斗さんがお風呂から出たみたい。
あたしは区切りの良い所で、雑誌を閉じ、お風呂に行こうと、振り返った。
「ふぎゃ~~~~!!!!////」
あたしのマヌケな悲鳴が上がる。
その理由は、優斗にある。
上半身は裸、下はグレーのスウェットを下げて履いている。
栗色の髪の毛は、まだ濡れている。
男に免疫のない杏里にとって、それは気絶ものだった。
ダメだっ!!!
毎日、こんなの見てらんないッ///
濡れた髪は、優斗さんの色気を際立て過ぎるくらいだ。
「杏里、どうした?」
こっちは気絶寸前なのに、優斗さんはなんでも無いように、あたしを見つめる。
これが、大人との差?
なら、あたしは一生、この差は埋まらない気がする。
半裸を見て、あたしは普通になんてしてはいられない。
「ふふふ服着てッ!!あたし、お風呂ッッ////」
やっぱり直視は出来なくて、走り去るように、優斗さんの隣を過ぎた。
シャワーを浴びながら、あたしはふと思う。
あたしって、本当に優斗さんとの二人暮らし大丈夫…?
きっと、あたしが男の人に慣れる事なんてないから…。