[完]大人の恋の始め方
そう言うと、優斗さんは、あたしの顔を強引に近付け、行動とは裏腹な、優しい口づけを零した。
あまり長くなくて…
でも愛が感じられる。
キスが終わると、あたしは優斗さんに抱き着こうとした…が。
「因みに」
行動を止め、優斗さんの言葉を待つ。
すると、優斗さん得意の、右口角を上に上げた意地悪で且つドSのオーラが滲み出る笑み。
でもその笑みが、あたしは好きだ。
「お前に拒否権ねーから」
優斗さんの言葉が終わると同時に、あたしは優斗さんに抱き着いた。
「拒否権なんていらないもんッッ!あたし、優斗さん以外で好きになるなんて無理っ//」
あたしは恥ずかしさを押し殺すように、優斗さんの胸に顔を埋めた。
その瞬間、あの爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。
安心できるこの匂い。
あたしは、バレないように、嬉し涙を一筋零した。