[完]大人の恋の始め方




なんか、優斗さんは付き合ってから、子供になった…?



一人悶々とそんな事を考えていると、ぷにっと頬を突かれた。


「イッタっ!……なんですか、優斗さん」



突かれた方を見ると、妖しく笑う彼の顔があった。



すると素早く後頭部を掴まれ、グッと引き寄せられる。



そして、あたしの目を捕らえて離さない。



ドキドキしながら、間近の彼を見つめると、フッと鼻で笑った。



「どう?俺以外の事、考えなくなった?」



「ほえっ?」



俺以外のコト…?


え、あたし今の時間に、優斗さん以外の事、考えたかなぁ?



うーん…。



ひたすら思い出すけど、一向に心当たりは見つからない。



すると、額にツンっと、優斗さんが人差し指を当ててきた。



「やーっぱ、なんか考えてんだろ。まじ少しは俺に集中しろし…」



少し拗ねたようなその表情に、あたしは首を傾げた。



………勘違い?



そう思ったら、クスリと笑ってしまった。



「なんだよ?」



ムッと眉を潜める彼に、あたしは思いっ切り抱き着いた。



「違うよっ!あたしはさっきから、優斗さんの事で考え込んでたのっ!ほかの人なんて考えられないよ」



それくらい彼は愛しき人。



< 284 / 500 >

この作品をシェア

pagetop