[完]大人の恋の始め方
なんか、優斗さんは付き合ってから、子供になった…?
一人悶々とそんな事を考えていると、ぷにっと頬を突かれた。
「イッタっ!……なんですか、優斗さん」
突かれた方を見ると、妖しく笑う彼の顔があった。
すると素早く後頭部を掴まれ、グッと引き寄せられる。
そして、あたしの目を捕らえて離さない。
ドキドキしながら、間近の彼を見つめると、フッと鼻で笑った。
「どう?俺以外の事、考えなくなった?」
「ほえっ?」
俺以外のコト…?
え、あたし今の時間に、優斗さん以外の事、考えたかなぁ?
うーん…。
ひたすら思い出すけど、一向に心当たりは見つからない。
すると、額にツンっと、優斗さんが人差し指を当ててきた。
「やーっぱ、なんか考えてんだろ。まじ少しは俺に集中しろし…」
少し拗ねたようなその表情に、あたしは首を傾げた。
………勘違い?
そう思ったら、クスリと笑ってしまった。
「なんだよ?」
ムッと眉を潜める彼に、あたしは思いっ切り抱き着いた。
「違うよっ!あたしはさっきから、優斗さんの事で考え込んでたのっ!ほかの人なんて考えられないよ」
それくらい彼は愛しき人。