[完]大人の恋の始め方
「イッテーな!!」
いかついお兄さん達にが、振り向く。
……非常にまずい。
「あれぇ??めっちゃ可愛い子じゃぁん?」
先程までの怖い声はなく、チャラ男の独特のトーンになる。
…ムカつく。
男って、本当にそんなもんなんだ。
怒りを覚えていたあたしだが、気付けば、人通りの少ない路地に連れ込まれていた。
額に嫌な汗が滲む。
「焦っちゃって可愛いんだけど~♪」
3人の不良(お兄さん?)は、ベタベタとボディータッチをしてくる。
………気持ち悪い。
「…っやめてッッ」
本当は振り払いたいけど、お酒のせいで、力が入らない。
「嫌がる顔やべぇ」
「俺興奮してきた♪」
「俺、準備万端だけど」
それぞれが、なめ回すようにあたしを見る。
そして、胸に手を当てられ、耳を舐められそうになった時、あたしの身体は、宙に浮いた。
「止めてくれない?これ俺のなんだけど」
低くて、透き通った声が響いた。
……あたし、男の人に担がれてる?!
すぐに降りようとしたが、男の人は、それを許さなかった。
「なんだよ兄ちゃん。俺らとやんのか?」
明らかに不機嫌な不良達の声。
担がれてる身では、不良もこの人も見えない。
「てめぇ、殺されてぇの?」
不良も思わず頭を下げそうな、ドスの効いた声に、思わず身体が強張った。