[完]大人の恋の始め方
でも、なんで急にそんなこと思ったのだろう?
今更過ぎるだけに、自分自身の戸惑いが大きい。
「なんだよ。俺なんか付いてんの?」
よほどジッと見てしまったらしい。
彼は少し顔を赤らめながら、ちょっとぶっきらぼうに尋ねた。
「ううん、付いてない」
あたしは首を振り、でもやっぱり彼をジッと見た。
いつもと変わらないはずの彼。
なのに、なんだかいつもと違う気がする。
なんだろう…、このなんの束縛も無くなったような気持ちは。
「付いてないなら何?なんでそんな俺のこと見つめてるわけ?」
とうとう彼は、窓に背中を向け、顔をこちらに向けた。
そんなに照れなくても…。
彼がぶっきらぼうな話し方になるときは、照れているときだと、この2年間弱で学んだ。
って、そうじゃないよね。
「なんかね…、響くんってよく見るとカッコイイんだなぁって思ったの。」
「はぁ?!」
目を見開く彼に言葉を続ける。
「でもさぁ、それって凄い今更じゃない?だから、なんでそんな事思ったのかなぁって…」
そこまで言うと、彼は眉間にシワを寄せて、難しそうな顔をする。
っと…、その顔は何かな?
俺がカッコイイなんて、今更だろ…とか思ってるのかな?