[完]大人の恋の始め方
「お前、もう先生のこと怖くないんだっけ?」
「うん…?まぁ、誤解って分かったしね」
でもそれと何が関係あるの?
すると、響くんは再び窓の方を向く。
しかし目線は下では無く、上。
空を仰いでいる。
「どうしたの?」
「うーん。多分だけど、男嫌いが治ったんじゃねぇの?
だから、自分の中に知らず知らずのうちに出来ていた、境界線を越えたんじゃねぇの?」
確かに…。
あたしは、いつもどこかで響くんも男子だからって思っていたかもしれない。
だけど、先生との誤解も解けて、今やっと男子をしっかりと見られるようになった。
だから今まで気付かなかったことにも気付けるようになったのかも。
妙に納得したあたしは、一緒に空を見た。
「お前が俺を好きになるなんて、ありえないからな」
「え?」
余りに小さい声で聞こえなくて、聞き返したが、彼は答えなかった。
なんだよ~と、ちょっとモヤモヤしながら下を見ると、丁度男子たちが帰っていく。
もう、授業も終わる時間だ。
あたしは窓から離れると、友美に電話をしてみた。
サボっているなら出るだろう。
どうせなら次の授業もサボって貰いたい。
何コールかしたあと、やっと友美が出た。