[完]大人の恋の始め方
「ふははっ!ホンットわかりやすいね!優斗さんとどこまでいったの~?」
久々に見る、楽しそうな友美の笑顔。
何だかこっちまで笑えてくるのだ。
「バレバレかぁ。まぁ、なんもないよ」
何もないけど、距離は縮まった。
不思議だけど、本当のこと。
優斗さんが教えてくれると言った、"大人の恋"。
もうすでに、レッスンは始まっているのかな?
「なんもないとか、つまんなーい!」
下唇を突出させ、ふてぶてしい顔に変身した友美。
そんな友美を、あたしはフンっと鼻で笑ってみた。
いつもなら想像がつかないあたしの行動。
それだけに、どうやら驚いているようだ。
「なんか杏里変わった?」
変わったと思う。
優斗さんに出会ってから、あたしは知らず知らずのうちに、いい方向へと変えて貰っていた。
……気がする。
優斗さんと出会って、優梨花さんに出会って、いつの間にか考え方や思考が変わっていた。
「先生と和解できたんだ」
そう言えば、彼女は口をポカンと開けたまま固まってしまった。
「友美~っ」
肩を揺すったり、目の前で手を叩いたり…。
いくらやっても反応しないもんだから、あたしは友美の頭を叩き、そのままベッドに倒れるようにした。