[完]大人の恋の始め方
「あの最低教師と和解なんてできんの?」
寝っ転がったまま、友美は信じられないような顔をする。
確かに、そうだよね。
散々先生のことで泣いてたのも、友美は見てるし。
「杏里、あんまり男子と仲良くなんない方がいいからね?」
その辛そうな表情は、なんですか?
友美があたしを撫でようとして、手を伸ばす。
その手を掴んで、ジッと友美を見た。
「なに?」
ちょっと動揺した彼女の目。
あたしはそれを、見逃さなかった。
「何かあったんでしょ?
あたしじゃ、相談相手にはならないかな?」
あたしは、友美を助けたかった。
なぜなら、いつもあたしは、友美に助けて貰ってばかりだから。
力になってあげたかった。
恩返しがしたかった。
そんな思いを詰め込んだ瞳で、彼女を見つめると、観念したようなため息をついた。
「じゃあ、ちょっと話そうかな」
目を閉じて、友美は話しはじめた。
その内容は、計くんに連れていかれたときの内容だった。
計くんは、無言のまま、友美を保健室まで連れてきて、強引にソファーに座らせたという。
「イッタ!なんなのよ!!」
無理矢理連れて来られた挙げ句、ソファーに強引に座らされて、友美の怒りはピークに来ていた。