[完]大人の恋の始め方
「なんなのよ、じゃねーよ」
計は、ソファーに座る友美に覆いかぶさった。
なんでこんなに計が怒っているのか分からない友美は、ただ戸惑った。
「え、なに…?急にどうしたわけ?」
すると、計は辛そうな顔を見せたあと、ぎゅうっと友美を抱きしめた。
「ちょっ…計?!///」
男慣れしている友美。
しかし、こんなにも堅く、強く抱きしめられたのは、初めてだった。
「お前…、このキスマークの量なんだよ……」
ボソリと呟く計の声は、とても低かった。
怒気が含まれていて、でもどこか切なげ。
そんな計を、友美はどうして良いか分からなかった。
「なにって……付けられたの……」
このキスマークは、この1ヶ月の賜物。
見たことがないくらいの量に、友美は自分はものすごく愛されていると、感じていた。
「付けられたって…彼氏?」
違う…。
こんなことを言ったら、また心美に怒られるかもしれない。
でも、友美の中では、今までで1番好きで、どうしようもない人なのだ。
それをどう説明したら良いか分からず、口をつぐんだ。
「言えないような、仲なんだ」
友美を馬鹿にしたような声。
まるで、彼氏でもない男にホイホイ抱かれて、1ヶ月も喜んでいたのか。と言いそうな。