[完]大人の恋の始め方




「なんなのよ、じゃねーよ」



計は、ソファーに座る友美に覆いかぶさった。



なんでこんなに計が怒っているのか分からない友美は、ただ戸惑った。



「え、なに…?急にどうしたわけ?」



すると、計は辛そうな顔を見せたあと、ぎゅうっと友美を抱きしめた。



「ちょっ…計?!///」



男慣れしている友美。
しかし、こんなにも堅く、強く抱きしめられたのは、初めてだった。




「お前…、このキスマークの量なんだよ……」



ボソリと呟く計の声は、とても低かった。



怒気が含まれていて、でもどこか切なげ。



そんな計を、友美はどうして良いか分からなかった。



「なにって……付けられたの……」



このキスマークは、この1ヶ月の賜物。



見たことがないくらいの量に、友美は自分はものすごく愛されていると、感じていた。



「付けられたって…彼氏?」



違う…。


こんなことを言ったら、また心美に怒られるかもしれない。


でも、友美の中では、今までで1番好きで、どうしようもない人なのだ。



それをどう説明したら良いか分からず、口をつぐんだ。



「言えないような、仲なんだ」



友美を馬鹿にしたような声。


まるで、彼氏でもない男にホイホイ抱かれて、1ヶ月も喜んでいたのか。と言いそうな。



< 323 / 500 >

この作品をシェア

pagetop