[完]大人の恋の始め方
「悪い?!友が、誰と一緒だろうが、誰に抱かれようが、関係ないじゃん!!」
その馬鹿にしたような口調が、気に入らなくて、友美はキッと計を睨んだ。
だけど、計にも怒りがあるのだろう。
その瞳は、とても冷たくて、強い冷気を放っている。
「お前、利用されてんだよ」
無表情のまま告げられた言葉。
理解するのに、少し時間がかかった。
「…は?意味わかんない」
意味わかんないとは、なんでそんなことが言えるのよ。ということだ。
計は友美が、誰の部屋に1ヶ月居たのかなど知らない。
なのに、平気で言い切れる計が、友美は不思議で、不快で仕方なかった。
なにも知らない他人に、自分の事をけなされるのは、結構頭にくることだ。
「話聞いてて分かったんだよ。お前、利用されてる。そいつと縁を切れ」
年下のくせに、やけに上から目線の計に、友美の怒りも増した。
なんで、そんなこと言われなきゃいけないんだ。
「そんなわけないし。あの人は、友のこと大事にしてくれてるよ」
今日だって、その家から登校してきたのだ。
いってらっしゃいのキスを、朝から受けたのだ。
なのに、なんで計は、こんなにも残酷なことを言うのだ。と、哀しみさえ覚えた。