[完]大人の恋の始め方
「あの…、夏休みも…、やっぱり色んた男の人と…その…」
恥ずかしくて、口ごもる。
そんなあたしに、友美はくすっと笑った。
「いろんな男と、ヤッたかって?
一人しかいないよ?」
それを聞くと、目が点になってしまった。
これは、予想外の答えで。
「反応がちょっと酷くない?友ね、ほんとに彼の事が好きなの」
幸せそうに話す友美は、今までにないくらい綺麗で。
何と無く、嬉しくなった。
「友美は、もし妊娠してたら、心から嬉しいと…思える?」
そう尋ねると、友美は困ったような顔をした。
……嬉しいわけ、ないのかな?
まだ未成年のあたし達が、子供を授かるなんて…。
だけど、友美からは違う答えが返ってきた。
「何も考えなければ、嬉しすぎてどうにかなっちゃうと思う。
でも…、彼にはどうなんだろ。
友もまだ未成年だし、彼に迷惑もかけたらって…」
「そうだよね。でも…、嬉しいって思えるなら良かった
検査しておいで?」
友美は、ウンと頷くと、トイレへ向かった。
それを見届けると、あたしは深いため息をついた。
正直、彼氏の存在に、あたしは引っ掛かっていた。
何故、友美が誰かを言わないのか。
そして、何故未成年なのに、避妊をしなかったのか。
もしかしたら、真っ当な人間ではないのかもしれない。
そんな心配が、胸を覆う。