[完]大人の恋の始め方
なんでもないような顔をして、あっけらかんとしている友美が、あたしは許せなかった。
どこまで尻軽女なのっ
何が本気よっ
あたしは、苛々をなんとか止めようとしていた。
「杏里?どうかした…?」
でも、彼女はそんなの分かっていなくて。
このまま母親になるのかと思うと許せなくて。
あたしは
友美の頬を平手打ちした。
「イッタっ!!何!?」
友美は、信じらんないっ!といった目を向けるが、そんなのは関係ない。
「なに考えてんの!?」
そう怒鳴れば、肩を竦める友美。
でも、言葉は止まらなくて。
「あんたは、なんでそう、尻軽女なのよ!あなた、少しは子供のこと考えたわけ?
もし産むとして、父親のいない子供は辛いに決まってるでしょ?!
なんで互いに愛し合う前に、身体を重ねるのッッ
今回ばかりは、もうあたしには無理っ」
あたしはかばんを持つと、急いで友美の家を出た。
暫く走ると、息が切れる。
ようやく歩き出すと、隣に公園が見えた。
あたしは、そこに引かれるように入る。
近くにあったベンチに座ると、こらえていた涙が、一気に流れ出した。