[完]大人の恋の始め方





「んんっ!!……バカっ!///ありすちゃんの目の前でなにすんのよ!!」




そう言いながらも、あたしの脈拍は信じられないほど速くて。



「誰が好きだか、分かった?」



ニヤリと微笑む優斗さんの顔が、とてつもなく大好きなわけで。




…敵わない。




「仕方ないから、ヤキモキ妬きの優斗さんって言っときます」




ふて腐れて言ってみるあたしは、かなり素直じゃない。



可愛くもない。



でも……



「ふーん?

そんな顔真っ赤になるほど、俺様が好きなんだな?」




そんな素直じゃないあたしを、受け入れてくれるのは、優斗さんだけ。




「見せ付けてくれるなー。
こっちが恥ずかしい」



ありすちゃんは、はー。と溜息を着いて、鞄を持つ。




「もう帰るんですか?」



「んー、時間が時間だしね?
明日から撮影なの。

あ、撮影…、杏里ちゃん一緒だよね?」




不意に確認するように首を傾げるありすちゃん。



撮影…?



「え、なんの…」



撮影…



「え?映画のだよ?!
杏里ちゃん、ゲスト出演だよね?
近いうち、またよろしく!」




あ。そういえば、今日そんなこと…。



バイバイと手をふる、ありすちゃんの後ろ姿を見ながら、やっと映画に出ることを思い出した杏里であった。



< 431 / 500 >

この作品をシェア

pagetop