[完]大人の恋の始め方




「やっぱり男の人ですからね…」


元々は、苦手で仕方ない部類だから、勝手に身体が拒否してしまう。



「そっかー。でもこれからは、そうはいかないし…」



少し辛口のコメントをされ、あたしは気持ちがシュンとする。



やっぱり、あたしにはモデルは、向かないんじゃ…



そんな気持ちが、目の前をちらほら。



そんなとき、いきなり後ろから抱き着かれた。



「杏里ちゃん、お疲れ様ー」



その声は優里花さんのもので。


あたしは、ハッとして向き直る。



そして、深々と頭を下げた。



「え、杏里ちゃん…?」


「今日は、ほんとにすみませんでした!
あたし、男の人苦手だからって、皆さんに迷惑かけて」



すると、頭をぽんぽんと、撫でられる感触がして、顔を上げた。



と、そこには微笑む優里花さんがいて。



「別に大丈夫!
あらかじめ、説明してあったから」


「え?」


「皆に言っといたのよ~。杏里ちゃんは、優斗以外の男は無理なのよって」



ふふんっと笑う優里花さんに対して、あたしは顔から火が出そうになる。



恥ずかしすぎる///


あたしが優斗さんと付き合ってるって、バラすようなもの。


「あら、とっくにバレてるけど?」



まるで心を見透かしたように、優里花さんが言う。



「えっと…?」



「だから、優斗と杏里ちゃんが付き合ってるってこと!」




「え!?嘘ですよね?!」




< 438 / 500 >

この作品をシェア

pagetop