[完]大人の恋の始め方
「やっぱり男の人ですからね…」
元々は、苦手で仕方ない部類だから、勝手に身体が拒否してしまう。
「そっかー。でもこれからは、そうはいかないし…」
少し辛口のコメントをされ、あたしは気持ちがシュンとする。
やっぱり、あたしにはモデルは、向かないんじゃ…
そんな気持ちが、目の前をちらほら。
そんなとき、いきなり後ろから抱き着かれた。
「杏里ちゃん、お疲れ様ー」
その声は優里花さんのもので。
あたしは、ハッとして向き直る。
そして、深々と頭を下げた。
「え、杏里ちゃん…?」
「今日は、ほんとにすみませんでした!
あたし、男の人苦手だからって、皆さんに迷惑かけて」
すると、頭をぽんぽんと、撫でられる感触がして、顔を上げた。
と、そこには微笑む優里花さんがいて。
「別に大丈夫!
あらかじめ、説明してあったから」
「え?」
「皆に言っといたのよ~。杏里ちゃんは、優斗以外の男は無理なのよって」
ふふんっと笑う優里花さんに対して、あたしは顔から火が出そうになる。
恥ずかしすぎる///
あたしが優斗さんと付き合ってるって、バラすようなもの。
「あら、とっくにバレてるけど?」
まるで心を見透かしたように、優里花さんが言う。
「えっと…?」
「だから、優斗と杏里ちゃんが付き合ってるってこと!」
「え!?嘘ですよね?!」