[完]大人の恋の始め方
優斗さんは、洗面所に向かう。
あたしはその間にコーヒー等をテーブルに準備する。
この連携プレイも、慣れたものだ。
「杏里。ん」
リビングに入ってきた優斗さんが、何かを渡してきた。
「……カギ?」
「おう。これからは、必要だろ?」
「うん」
確かに、今まではあたしが家に居たから、必要なかったんだけど。
これからは、そうもいかないだろう。
「なくすなよ?」
「むっ!大丈夫だよぉ!!早く朝ごはん!!」
あたしは、カギをポケットに入れて、席につく。
「なくしそうだな」
「大丈夫ですぅ~」
あたしは、もくもくとご飯を食べる。
「あ、お前今日は早く帰って来いよ?」
「なんで?」
あたしはお皿を片付ける。
「ドラマがクランクアップしたからパーティーしようってなったんだよ」
「へぇ、すごい。ドラマ終わると、パーティーなんか開かれるんだぁ」
あたしとは別世界だなぁ。
あたしは、ブレザーを羽織る。
「いや、ドラマにちなんでって話だよ。で、お前も出ろ」
そういえば、お嬢様と執事のお話だっけ。
って、今なんて言った?!
「何?」
「てめぇ、一回で聞き取れよ。お前も出んの」
……あたし、耳壊れた?
「なんであたしが出るのよ」
意味が分からないッッ