[完]大人の恋の始め方
映画の撮影
さて、今日は映画の撮影日です。
今日から3日間、優斗さんなしのロケ。
しかも、中島蓮がいる。
かなり気まずい。
なにも知らない友美は、呑気に友も行きたいって、騒いでいた。
「杏里ー!今日からよろしくね♪」
急に目の前に現れたのは、綺麗にメイクアップされたありすちゃん。
役柄上、少し濃いめのメイクになっている。
「ありすちゃん、よろしく」
「ん?もしかして…、緊張してる?」
ありすちゃんの言葉は、正解だ。
だって、こんな沢山のスタッフ見たことない。
てゆーか、カメラの量が多い。
緊張しない方が無理だ。
台本だって。
「めっちゃしてますよー。
演技したことないし…」
「んまぁ、仕方ないか。ありすも最初は、そうだったし。
でも、ありすの友達役なんだから、フォローもするし!」
と、あたしの肩に手を置く彼女。
なんだか、心強いな。
気が付けば、あたしの顔も綻んでいた。
「あ、杏里ちゃん!」
そこへ、悪魔は現れた。
「あ、中島蓮くん…」
フツフツと沸き起こる怒りを、何とか抑える。
杏里、平常心だよ、平常心。
何度も自分に言い聞かせる。
「これから3日間よろしくね!」
「ん?なぁに?
杏里と蓮さんって、知り合いだったの?」
ありすちゃんの言葉に、何故か得意げに微笑む中島蓮くん。