[完]大人の恋の始め方
「お前に興味があんだと。なんか、電話聞かれてな。大丈夫か?」
いや、なんであたしなんかに興味もつわけ?
「でも、行かないといけないでしょ?」
「まぁ、監督が楽しみにしてるからな」
そういえば、前に言ってたっけ。
わがままで、無駄に権力の強い。
逆らってはいけない人。
「大丈夫!分かったよ。行ってきます」
あたしは、リビングを出ようと、扉に手を掛けた。
グイッ
「っえ!?優斗さん?」
腕を引っ張られ、顔を覗き込まれる。
「お前、メイクとかしねぇの?」
あたしは、その言葉を理解して首を傾ける。
「え、普通するの?」
「普通の女子高生はするだろ?」
へぇ…
あたしは、これまでまともにメイクをしたことがない。
「あたしはしないの」
何と無くムッとしてしまう。
「って事は、いつもすっぴんな訳かぁ…」
すっぴんで悪いかッッ!!!
すると、唇がちゅっと触れた。
「何すんの!!///」
思わず口を抑える。
優斗さんは、口角を上げて、あたしを見る。
「やっぱりかわいいなって思っただけだよ。ホラ、行ってこい」
「言われなくても行くもん!行ってきます」
あたしはかばんを持って、家を飛び出た。
「まじ、純情なガキだな」
と、優しく微笑んでいた優斗に気付くわけもなかった。