[完]大人の恋の始め方
「悔しいな……」
ボソッと呟くから、あたしは首を傾げる。
そんなあたしを見て、ふっと笑って。
再び唇を重ねた。
「優斗さん…?」
「杏里の大事な友達が、アイツの餌食なんてな。
俺が、パーティーなんかに連れて行ったから。
……悪かった。」
真剣な優斗さんの瞳は、小さく揺れていて。
急に、少年のように見えて。
軽はずみな行動が、ここまで広がるのだと、
迷惑がかかるのだと、
後悔しかないのだと、
知った。
「ねぇ、優斗さん。
友美に本当のこと、話すべきかな?」
下から優斗さんを見上げると、彼は考え込んでいて。
ゆっくりと、あたしに視線を移した。
「友美ちゃんなら、もう気付いてると思う。
心美ちゃん、もね」
意味深な言葉に、あたしは首を傾げるばかりだった。