[完]大人の恋の始め方
これも、恋のおかげなのかなって、思った。
それからあたし達は、ケーキと紅茶を頂いた。
どっちも美味しくて、つい話に花咲かせちゃったから、プレゼントは後日にした。
「今日さ、杏里ん家泊まっていい?」
帰り道、友美が急に口にした言葉。
あたしの家のときは良く泊まりに来てたけど、優斗さん家になってからは、泊まりはほとんどなかった。
だから急過ぎて疑問が湧く。
「たぶん大丈夫だけど…、
どうしたの?」
「ん?
ちょっと、ね?
あ、友今日はハンバーグがいい!」
ちょっと、って…。
スーパーに駆け込む友美を見て、不安になった。
***
「重ーいッッ」
スーパーの袋を持ちながら、二人で家路を急ぐ。
「んもー、友美が買いすぎるからぁ!」
両手に袋って、なかなか無いんだから!!
なんて思いながら歩いていると…
「何やってんだよ」
聞き慣れた声と共に、重みが消える。
あたし達の袋が、ひょいっと奪われて。
代わりに、いつもの爽やかな香りが、ほんのり香る。
「優斗さん、なんで?」
今日は、遅いって言ってたような…
冬だから、もうすっかり暗いけど、まだ5時半。