[完]大人の恋の始め方
「とりあえず、そういうことだから」
優里花さんは、カードで支払いを済ませると、車に戻る。
「よし!じゃあ、香水探しにいこっか!」
優里花さんが発進させた車は、駅の地下駐車場に入る。
そして慣れたように、駅ビルに入る。
「優斗もさぁ、まだ21歳なんだから、若いのよねぇ。
だから、杏里ちゃんの若々しい感性を分けてあげて」
優里花さんが可笑しそうに言う。
「若々しいって、優斗さんはもともと大人っぽいですし…」
「だからよ。
あなた達には丁度いいんじゃない?
大人だ、子どもだっていろいろ言ってたんだから」
そういうものなのだろうか。と考えながらも、香水売り場につく。
沢山並んだ香水は、綺麗な色をしていて、まるで宝石だ。
とりあえず、メンズの香水に手を伸ばす。
人気ナンバーワン。
とりあえず、嗅いでみる。
……が。
「うわっ…あたしこういうの無理ですっ」
すごく甘い香りがして、気分が悪くなる。
多分、普通の人はいいんだろうけど、あたしにはちょっと無理だった。
そんなあたしの隣で、優里花さんも嗅いでいる。
なんだか不思議。
いつも高級感溢れる優里花さんが、こんな駅ビルで香水を嗅いでるなんて。