[完]大人の恋の始め方
あたしは、人気ナンバーツーも嗅いでみる。
だけど…
「クスッ
杏里ちゃん好みじゃないでしょ?」
「…はい。
こういうのばっかりなんですかね?」
サンプルを置きながら、さり気なく咳をする。
正直な話、臭い。
「別に、人気のやつじゃなくていいのよ?
それこそ最下位だって。
杏里ちゃんが贈る、優斗のための香りなんだから」
そう言われて、あたしは、人気と言う言葉を気にしないで、気になったサンプルを取る。
なんとなく、目に付いてたそれ。
そして、匂いを嗅ぐ。
「あっ!
これ、ぴったりかもしれない!」
それは、まるで石鹸のようで、透明感ある自然な香り。
目立つ香りでもないし、仕事にだって使えそうだし、これだったら家で付けてもいい。
「どれぇ?………わっ、いいじゃん!」
優里花さんも、笑顔で頷いてくれる。
あたしは、その香水を購入した。
「さてと…、そろそろ帰らないと、まずいかな?」
優里花さんの言葉の意味が分からず、首を傾げる。
「んもー、周り見て見なさいよぉ」
言われて、周りを見れば
「うわっ……凄い人………」
沢山の人が集まっていた。