[完]大人の恋の始め方
「へー、これが杏里ちゃんが一目惚れした男かぁ」
優里花さんがニヤニヤしながら見るから、あたしは口を尖らせた。
「そうですけど。
今は大好きな先生です」
「ふ~ん?」
「もうっ!
優里花さん!!」
意地悪過ぎるよ、優里花さん。
むーってすると、それを可笑しそうに、大翔が見ていた。
その視線に気付いて首を傾げる。
「いや、相変わらず馬鹿だなって」
「ヒドー!!」
ポカポカ大翔を叩くと、避けるようで避けないで笑ってる大翔がいた。
「香水。
随分プレゼント色っぽいじゃん?」
急に言うからなんだか分かんなかった。
「杏里だけの香りにすんだろ?」
にまぁっと悪戯に笑う大翔を、あたしは知らない。
だから、ちょっとだけ。
ほんとにちょっとだけ。
………ドキッとしたよ。
ちょっとだけね?
「杏里ちゃんからこんなん貰ったら、アイツやばいかもねー」
優里花さんの言葉に、首を傾げる。
「だなー。狼だな。
忙しいだろうな」
え、なんのこと?