[完]大人の恋の始め方
実際、あたしも完全に受け入れてる訳じゃない。
まだまだ信じられないのだ。
「高杉優斗さんかぁ~!いいなぁ」
友美は恨めしそうにあたしを見る。
「友美だって、イケメン彼氏がいるじゃん!!」
1年生の最後の頃に、友美はかなりのイケメンと付き合っていた。
「いつの話よぉ~。とっくに別れたよ」
「え、また!?」
で、もって、1週間の彼女。
1年生のうちに何人と付き合った事か。
付いていくあたしの身にもなって欲しい。
「またって何よ。いいじゃない、春は別れの季節なんだから」
はぁー…
もうちょっと、どうにかなんないのかな…?
友美は、昔から変にモテて彼氏が尽きる事がない。
彼女いわく、熱しやすく冷めやすいらしい。
「そういえばさっ、近藤先輩、彼女と別れたんだってぇッッ!!」
あたしをバシバシ叩く手を、なんとか押さえる。
「友美さっき、春は別れの季節とか言ったばっかじゃん」
「春は出逢いの季節なのぉ~!!」
……真逆。
これこそ、矛盾ってやつなのだろう。
第一、近藤先輩とはすでに会ってるでしょうが。
思わずツッコミたい事が、いくつも出て来る。