[完]大人の恋の始め方
〔友美side〕
息も真っ白に広がる、12月の夜。
友は、一人ぽつんと公園のベンチに座っていた。
最後だから。
真っ白のコートで、中はクリーム色のニットワンピを着て、黒いブーツを履いた。
いわば、ザ 女の子 ファッションだ。
髪の毛もクルクルにしてて。
蓮のこと、本気で好きだったって思った。
初めて会ったあの日。
一目惚れなんて、絶対しないって思ってたのに。
優しくされて、一つ一つの行動にドキドキして。
今までとは、全然違う感覚に墜ちた。
蓮に彼女がいるのは、分かってた。
でも、止められなかった。
それが、皆に迷惑をかけて。
一つの大切な命を奪った。
蓮を好きになるだけじゃダメなんだって、実感した。
責任が必要なんだって。
だからこそ、蓮との別れを決意した。
蓮がくれた最後のキスは、何故かしょっぱくて。
自分の涙だって、気付くのに時間がかかった。
でも、後悔はしてない。
学べることが、沢山あったから。
友は、いつのまにか出ていた、涙を指で拭き取る。
と、そのとき。
「風邪ひくだろ」