[完]大人の恋の始め方
肩に、パサッと何かが置かれ、横に誰かが座った。
この声って…
顔を上げると、
「計?」
真中計だった。
なんでいるの?
どうして友の隣に座るの?
思ったことはある。
でも、友の声に対して、返事を返さない彼の、変な雰囲気から尋ねることはできなかった。
だけど、妙に安心しちゃって。
友は、計の肩に額を寄せた。
「泣けば?」
低くて、ちょっと掠れた声。
ばーか。
誰が泣くか。
って、言いたいのに。
最悪。
友の目から、いつの間にか、涙が出ていた。
なんでこんなに、安心するのかな?
***
ようやく涙が修まると、ゆっくりと顔を上げた。
そして、至近距離で計と目が合う。
なんで見てんの、ばかやろっ。
相変わらず綺麗な顔しやがって。
そう思っていると。
「ふっ。不細工な顔」
可笑しそうに笑う、計。
「ちょ、泣いたんだからしょうがないじゃん!!」
失礼だな、今日は気合い入れてメイクしたんだもん!!!
友は恥ずかしくなって、下を向く。
「なんで下向くんだよ」
「なんでって、恥ずかしいからに決まってるじゃん!!」