[完]大人の恋の始め方
ソファーに座る彼を見て、言葉に出来ない訴えをする。
"逃げちゃダメよ?"
そのとき、優里花さんの一言が胸をよぎる。
………逃げちゃ、ダメ。
そうだ。
もう決めたの。
あたしは、
優斗さんとが…いい。
あたしは、出そうになった涙を、拭き取り、優斗さんの元へ。
「優斗さん……」
「今は近寄らない方がいい」
声をかけただけなのに…。
でも、気づいてしまった。
優斗さん、震えてる。
それに、ホテルの時も、何もしないでシャワーに行ったりしてた。
もしかして優斗さん…、我慢してる?
あたしは、優斗さんの言うことを聞かず、足を進める。
「…杏里、くんなって」
「やだ、そこにいく」
あたしはどんどん近付き、優斗さんの目の前に立つ。
「杏里、」
「だって、今日はクリスマスだもん。優斗さんの近くにいたい……きゃあっ」
と、突然腕を引っ張られ、ソファーに流れ込む。
身体がガバッと埋まり、革の感触に覆われる。
衝動的に閉じた目を、ゆっくり開ければ、そこには、艶やかな目をした優斗さんがいた。