[完]大人の恋の始め方
「てゆーか、近藤先輩ってどんな人だっけ?」
あたしがそう言えば、友美は目を見開く。
「ちょっと杏里。近藤先輩は、あの金髪の…」
「あー、思い出した」
確かあれは、入学して間もない頃だ。
あたし達は、移動教室で2年生の前の廊下を通らなければ、ならなかった。
当初は怖かったし、無駄に怯えてたと思う。
もうすぐ、その廊下を通りすぎるって時に、あたしと友美は、不良の先輩に絡まれた。
友美は笑顔だったけど、あたしは恐怖心しかなかった。
男、ましてや不良なんて。
授業にも遅れてしまいそうな、そんな時、近藤先輩は現れた。
彼のイメージである金髪は、差し込む光で、更に明るく輝き、耳のピアスは、その光を反射していた。
その先輩が不良から、あたし達を助けてくれた。
あたしからしたら、化け物…だった。
が、友美からしたら違かったようで、一時期は本当、近藤先輩近藤先輩って五月蝿かった。
まぁ、彼女がいることを知って、収まって、次の日には彼氏が出来ていた。
あの頃のあたしには、近藤先輩はかなりインパクトのある人だった。
しかし、今こんなにも忘れてしまうのは、きっと友美の連れてくる彼氏のせいだろう。