[完]大人の恋の始め方
そしてあたしは、ジッと友美を見つめた。
「…何?」
友美もその視線に気付き、首を傾げる。
「で?その近藤先輩に彼女がいなくなったから、どうしたいわけ?」
ほぼ答えが分かっていて、わざとわかりやすい質問をする。
「お気づきの通り、狙っちゃおっかなって♪」
……やっぱり。
どうせ、そんなもんだと思ったよ。
「だから、協力してね?」
「無理」
あ、皆さん冷たい人だって、あたしの事思ったでしょ?
でも、協力ってのがもう大変なんです。
「えー杏里お願い~!!!」
「嫌だよぉッッ!!だって、またあたしがおとりになるんでしょ!?」
おとりってのは、対象者にあたしが近付くって事。
毎度毎度大変なんですよ。
「んも~!!」
「何も、一人で話し掛けたらいいじゃない」
そう言えば膨れる彼女。
「だって、緊張するし…」
おい、さっきまでの強気は、どこへ行った。
でも実際そうで、友美はかなり緊張しやすいタイプなのだ。
だから、いろんな友達に手伝って貰ってるみたい。
なんで、狙う人にそんな弱いのかなぁ…。
むしろぐいぐい行けって言いたくなる。