[完]大人の恋の始め方
始業式は、特に何もなく、順調に過ぎて、終わりに差し掛かっていた。
「担任、うちら誰だろうね?」
そう、あとは担任紹介。
この年にもなると、あんまり気にしなくなるのだが、友美は違うようだ。
「友美は、誰がいいの?」
「ん~、イケメン先生かぁ、めっちゃノリのいい美人先生!!」
………。
友美さん。
あなた、さっきまで近藤先輩が、どうこう言ってたじゃん。
「あ、杏里なんか勘違いした?あたし、先生に出逢いは求めてないよ?」
おちゃらけたように、友美はあたしを突く。
ほんと、よく言うよ。
「中学の時、先生追い回してたくせに」
あたし達の中学には、若いイケメンの先生がいて、友美はよくその先生を追い掛けていたのだ。
「懐かしいね~っ!まぁ、ヒロ先生はかっこよかったんだから、仕方ない♪」
それに、うちの学校にそんなイケメンは居ないと、友美は笑っていた。
確かに、ごく普通と言ったら失礼だけど、目を引く先生はいない。
だから、友美の願いは叶わないもの。