[完]大人の恋の始め方
そんな時、担任紹介が始まった。
だけど、先生がズラリと並ぶ中、あたし達の知らない先生が混ざっていた。
「ねぇ、見て杏里!!」
「え、なに?」
あたしは、友美の指差す方を見る。
「あれって……」
列の端に立っている男性。
身長が高くて、しまった身体。
少し焼けた肌に、子犬のような真っ黒な瞳と薄い唇。
明るめの茶色い髪は、ストレートで斜めに分けられた、爽やかなヘアスタイル。
「どう見ても……」
「あれ、ヒロ先生だよね?!」
友美は、ぴょんぴょんと跳ねる。
なんでヒロ先生が…?
「2-B担任の、相葉大翔(あいばひろと)です」
一礼して、爽やかなあの笑顔を見せると、体育館は黄色い声に包まれた。
「たっ担任?!杏里!友、ヒロ先生に惚れちゃうかもっ///」
……なんで?
なんで、大翔先生がこの学校に来たの?
教室に戻ると、女の子達はキャーキャー騒いでいる。
相変わらず、学校の女の子達をトリコにしちゃうんだね。
あたしは、教室が嫌になって、一人トイレに向かった。
鏡の中の自分を見つめる。
あの頃と、あまり変わっていないように見える顔。