[完]大人の恋の始め方
この顔、大翔先生は気付くのかな?
顔合わせれば気付くか…。
だってね…?
あたしは、大きなため息を1度して、トイレから出た。
教室に帰る途中、階段の前を通り過ぎたとき、彼は現れた。
「……あ」
大翔先生が話し出す前に、あたしは走り出し、教室に入った。
「あれ、杏里どこ行ってたの?」
走ってきたあたしに、友美が近寄る。
「ちょっと、トイレ」
「ふーん?それより、早速ヒロ先生の人気ヤバいよッッ」
ドキッ…
友美の言葉に、苦笑いを浮かべる。
「あ、杏里はヒロ先生別に好きじゃないんだっけ?」
「え、いや…」
友美は、あまりヒロ先生を見ても騒がないあたしを見て、好きではないと、昔から認識している。
本当は違うんだけど。
カッコイイって思うんだけど、皆みたいに騒げないだけ。
ガラガラっ
「ほらぁ、席に着けー」
懐かしい声が、ダイレクトに耳に届く。
「きゃぁ~!!!相葉先生ーっ!!!」
女の子達が、一気に目の色を変える。
それは、友美も例外ではない。
というか、ほかより凄い。
今なんて…
「ヒロ先生っ♪覚えてる??」
教室の女の子達も、終始驚いてる。