[完]大人の恋の始め方




「え、うん」



あたし達は、結局二人三脚もリレーも1位。


学年総合1位になった。


そして、体育祭の後片付けの時。



あたしは、バトンや大玉などを、物置に整理していた。



友美は、アキラくんとデートだからと帰り、残っている生徒も、わずかだった。



「ふ~、疲れた。……あれ?ラインカーが一個ない」



4つあるはずのラインカーが3つしかないのだ。



それを見つけないと、物置を閉められない。


あたしは、1個のラインカーを探し出した。



…が、なかなか見付からない。


どうしようと、迷い込んだとき、後ろから声を掛けられた。



「あ、もしかして2年生の松本杏里ちゃん?」


振り返ると、男の先輩が3人いた。



見るからに、ちゃらんぽらんな3人。



「そうですけど、何か…?」


「やっぱりー。これ、渡そうと思って」



これ、を見ると、あたしが探していたラインカー。



「あ、ありがとうございます!」



それを見たときは、人って見かけに寄らないなって思った。



でも、それは違った。


「うん。てか、本当噂通り可愛いんだねぇ」



ラインカーを取ろうとした手が、男に捕まれる。



「え、あの…」



「ほんと、綺麗だなぁ。年下には見えないよ」



3人の男達は、あたしに近付く。



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