[完]大人の恋の始め方
え……なんか、本能的にやばい気がするんだけど。
「あの、離して頂けますか?」
と言いつつ、さりげなく手を振るあたし。
でも、そんな行動は、まるで無意味で。
「なんなんですかっ」
「杏里ちゃんって、俺ら3年でもだいぶ人気だよぉ」
………意味わからん。
答えになってないし
そんなこと聞いてない。
「杏里ちゃんってさ、今彼氏とかいるの?」
とうとう話ズレちゃったー!!!
って、そんなこと言ってる場合じゃない!!!
「ほんと、離して下さい!!」
「それじゃ答えになってねぇだろがぁ」
…アンタだって、答えになってなかっただろがー!!!
あたしは、その場を苦笑いで通す。
……もう、早く帰りたい。
そう思っていたとき、救世主は現れた。
ラインカーを取り返し、あたしの腕を掴むのは
大翔先生。
「探したんだよ?早く仕事終わらせて」
まるで、3年をシカトの大翔先生。
「あ、はい…」
あたしは、渡されたラインカーを持つ。
「おい、何勝手に杏里ちゃん連れてってんだよ!!」
3年生の1人が叫べば、先生は笑顔を向ける。
「松本は、実行委員なんでね。それとも、お前達が後片付けやるか?」