[完]大人の恋の始め方
低い大翔の声。
今まで見たことのない、表情。
あたしの涙が頬をつたった。
「ほら、泣いて。ほんと重い」
……あなたはダレ?
何を言ってるの??
「俺、杏里ってかなり顔がタイプだったんだよね。でも、キスまでしかしてくれないし?俺には重すぎるっての」
「大翔は、あたしの事がキライ…?」
「ああ。顔以外な」
ドクンッ
怖いっ
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
「いつまで見てんだよ」
大翔は、あたしの前髪を掴む。
「……イッタ…っ!!」
これ、ほんとに大翔なの?
あたしは、教官室の外に追い出された。
ドアが閉まる瞬間、女生徒が笑った気がした。
正直、そこから先はあやふやで、確か友美に連絡した気がする。
「友美、あたしもう無理っ」
「えっ?!ちょっとそこにいて!!」
友美は、電話を切ると、すぐにあたしがいた公園に来てくれた。
「ちょっ、杏里。風邪ひく!!とりあえず、友の家行こう?」
友美の家に行くと、響くんがいた。
それに、クラスの女の子達も。
「なぁんか、皆今日は泣きたい気分みたいっ」
聞けば、友美もアキラくんと別れたらしい。
「結局飽きたらポイなんだよね」
皆が口々にそう言う。